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マルチ商法の勧誘で哀しみに包まれた話。

日記

とあるキッカケでマルチ商法の勧誘を受けることになった。

 

 

「ビジネスの話があるんですけど、
よかったら話を聞きませんか?」

 

 

そんなことを言ってぼくを誘ったのは大学の後輩だった。

 

その後輩がいろんな人に声をかけて
マルチ商法をしているという噂は広がっていた。

ぼくにもその話が来たか、という思いだった。

 

 

最初から「マルチ商法に勧誘される」と思って聞きに行ったので、
まぁ、騙されるわけがなかったんだけども。

 

 

それよりも、ぼくが強く揺さぶられたことは、
マルチ商法で儲かるということを完全に信じきっている後輩の眼だった。

 

 

普通に考えれば破綻しているビジネスの話を信じ込んで、
それなりの金額を支払ってしまったようだ。

そして、同じビジネスをいっしょにやろうと友達に声をかける。
絶対に儲かると信じ込んでいる後輩だ。

友達に声をかけていっしょにやろうというのは、
わからなくもない考え方だ。

 

 

そこに、悪意はなかった。

 

だからこそ、キツかった。

 

 

まったく知らない人から勧誘されたのであれば、
その人を悪役にすればいいだけで済む話だ。

マルチ商法で騙そうとする悪い人もいるんだなぁ、と納得できる。

 

 

ぼくは、騙そうともしていないし、
善意で声をかけてくる後輩を悪役にすることができなかった。

 

 

後輩は悪意がないのにもかかわらず、
マルチ商法という破綻しているビジネスに気がつかず、
騙されているだけなのに、世間では悪役になってしまう。

その後輩の姿を見続けるのが、苦しかった。

 

 

そして、後輩の周りの友人が離れていく様子を見るのが、哀しかった。

 

マルチ商法をやっている友人とは、
縁を切ろうとするのが一般的な感覚なのだとは思う。

それはもう、仕方がないことだと思う。

 

ただ、彼は悪ではない。騙そうとはしていない。

 

後輩もたくさんの苦労があって、
どうしても現金が必要で、
必死にもがき苦しんでいる中で、
マルチ商法というものに出会ってしまった。

 

「人を騙す」という行為でお金をかき集める人がいる。

今までは報道で漠然とした形でしか
そのことに関する知識を得るしかなかったが、
知っていた人間がそこに落ちるというのが、生々しかった。

 

今回のこと、正直に言ってしまえば、
好奇心で後輩の話に乗ってしまった。

 

後輩のために「騙されているよ!」と言うのがいいのかもしれないが、
果たしてそれが正解かもわからない。
信じ切っている人間を引っ張ってくるのがうまくいくかどうかもわからない。

 

 

 

このことを、この気持ちを、後輩を、どうすればいいのだろうか。

 

答えを探そう。そうすることにした。

長友がこっちを見ている。

日記

右手にサッカーボールを持っている。

白い歯を輝かせて。

 

満員電車に揺られて壁際に追い詰められた

ぼくの目の前にその笑顔は現れた。

 

若干の作り笑顔感はあるものの、

思わず見つめてしまうような表情だ。

 

右前方から当てられた照明によって、

陰影が生まれて男らしい顔立ちになっている。

 

格好良さの中にも親しみがあり、

親戚のお兄さんのようだった。

 

電車に揺られながら

長友と見つめ合うこと数十分。

 

二人の旅路はさまざまな場所を駆け巡った。

街の中、森の中、暗闇の中。

 

僅かな時間ではあったが、

ぼくと長友はたくさんの景色を見ることができた。

 

しかし、もうすぐお別れの時間だ。

この素晴らしい笑顔から離れなければならない。

 

終着駅に向けて電車はゆっくりと減速していく。

この気持ちをどうすればいいのだろうか。

 

長友とぼくが別れを惜しむ気持ちを察してくれたのだろう。

ホームに入る前で停止信号が点灯していたようだ。

 

エンジン音が途絶えて一瞬の静寂が

ぼくと長友を包み込む。

 

あぁ、この時間が永遠だったらいいのに。

ふたりだけの世界にしたかったのに。

 

しかし、無情にも電車は再び動き出す。

大量の人間を乗せた車両はホームへと到着する。

 

あぁ、待ってくれないか。

まだこの笑顔を見続けたい。

 

扉は開く。

長友は表情を変えない。

 

長友よ、あなたは別れが惜しくないのか。

表情がまったく変わらないではないか。

 

ぼくが寂しい気持ちで胸がいっぱいなのに。

その笑顔で固められた鉄仮面は剥がれ落ちないのか。

 

ふたりで過ごしたこの時間は無駄だったのか。

別れの瞬間でさえ、あなたは薄っぺらいままなのか。

 

やれやれ、ぼくはため息を吐きながら、

新宿駅に降り立った。

 

ただ、もう一度、もう一度だけでいい。

その笑顔をぼくの瞳に焼き付けたい。

 

振り返ると、長友の胸には、

横浜銀行カードローン」と書いてあった。

 

 

 

よしっ、お金を借りよう。

中2で枯れてた涙を取り戻した話。

日記 地下アイドル

◎前編はこちら→中学2年生で涙が枯れた話。 - さとけんパンダの日記

 

 

中学2年生で涙が枯れてから約10年が経った。

どれだけ悔しくても、
どれだけ悲しくても、
泣かなくなった。

ドラマや映画、本を読んで感動しても涙を流すことはなかった。

「涙を流す」という感覚がどんなものかさえ忘れてしまっていた。

 

 

そして、23歳のとある日。

その日は、ぼくが2年間ものあいだスタッフをしていた
アイドルの卒業ライブだった。

4人のメンバーとぼくがグループ名をいっしょに
考えるところからスタートしたアイドルだ。

思い入れは、とても強かった。

路上ライブでお客さんが立ち止まらないところから
始まったアイドルだった。
いろんな話し合いをしたし、
トラブルもあったし、
バラバラになりかけたこともあった。

苦難を乗り越えながら、2年間の間、
彼女たちの頑張りで、ファンは着実に増えていった。

最後にはライブ会場が埋め尽くされるほどのファンに囲まれた。
大変なことも多かったけれど、とてもしあわせな光景だった。

ぼくはそのライブを最前列でカメラを構えながら見ていた。

スタッフなのでセットリストも演出も知っている。
リハーサルもばっちりと見ている。
このステージで何が行われるかはすべて把握している。

ぼくはカメラを構えているし、
泣いてしまったらファインダーが
涙でぼやけてピントがわからなくなる。
2年間共に戦ってきたアイドルだし感動はするだろうけど、
まぁ、スタッフとして現場に入っているし
涙も枯れているから冷静に彼女たちの最後の姿を撮ろうと思っていた。

そして、本番。

デビュー曲のイントロが流れ出した瞬間に、
ぼくはもう、涙が止まらなくなった。

ヤバかった。
ガン泣きだった。
そこまで泣くかというぐらいに涙がとまらなかった。
本当に、泣きまくった。

それだけ思い入れがあった2年間だったということを改めて知った。
自分の気持ちはこんなにも強かったのだと、最後に知った。

 

 

このときに流した涙は、子どもの頃に流していた涙とは別の種類だった。

昔は「悔しさ、怒り、悲しみ」で泣いていた。

今日は「感動」で泣いていた。

思い返せば、ぼくは「感動で泣く」ということが
今まで1回もなかった。

アイドルのステージを見て、
ぼくは人生ではじめて感動で泣いた。

 

 

それからというと、妙に涙もろくなってしまった。
感動する作品を見たらすぐに涙が出るようになった。
この前はイッテQでウッチャンが鉄棒の大車輪に挑戦する企画で
ボロ泣きしてしまった。

感動したらすぐに涙が出てしまう。

感動の涙は流すと気持ちがスッキリとする。

感動で涙を流すという行為はやったほうが、きっと、いいはずだ。

ぼくが「感動の涙」を流せるようにしてくれた
アイドルに感謝している。ありがとう。

そして、ぼくがいつか、
誰かに「感動の涙」を流してもらえるようなことを
することができたら、うれしい。

中学2年生で涙が枯れた話。

日記

 

子どもの頃はとにかく泣き虫だった。

いろんなことですぐに泣いていた。

 

とても負けず嫌いで

TVゲームのスマブラで同級生の間では

ほとんど負けたことなかったけれど、

兄の友達と対戦したら

ボコボコにされて泣き喚いた。

あのときは猛烈に悔しかったんだと思う。

 

泣いたよ。

 

友達からちょっかいを出されたら

すぐに怒って泣いていた。

怒りっぽい子にイタズラをしてからかうのは

子どもがやりそうなことだ。

その標的になっていたんだと思う。

 

泣いちゃってたよ。

 

他にも、親と出かけてるときに

迷子になってしまって泣いたり、

自転車で派手に転んでしまって泣いたり、

いろんなことでよく泣いていた。

 

子どもが泣く理由は怒りや不安、寂しさが

胸の中でいっぱいになったら

涙が溢れ出してしまうのだと思う。

ぼくは怒りや悲しみがすぐに

涙として出てしまう子どもだった。

  

そんなぼくの子ども時代だったけれど、

とあるキッカケで泣くことが一切なくなった。

不思議なことだけれど、

その日を境に涙を流すことはなくなった。

 

 

 

 

仲良くしていたインターネット上の知人に

めちゃくちゃ怒られたことがあった。

 

2005年頃、ぼくが中2のときに

とあるインターネットのコミュニティに

参加していた。

 

その趣味を好きな人同士で交流をするサイトだ。

当時はSNSではなく、

それぞれ個人サイトを持っていて、

掲示板を活用して交流したり、

チャットで話をして盛り上がっていた。

 

そこに小学5年生の頃から参加していて、

それなりに仲良くしてくれる方がいた。

名前も顔も年齢もほとんど知らなかったけれど、

たのしく交流をしていた。

 

そんなインターネットの交流で、

ぼくがとある人に失礼なことをしてしまった。

その人は、失礼なぼくに対して

とても怒ってくれた。

今思えば、見知らぬ中学生の子どもに

ちゃんと怒るというのが

どれだけやさしい行為だったかというのがわかる。

インターネット上の他人に対して失礼だったぼくを

しっかりと怒ってくれたその人に、

とても感謝しています。

 

 

 

 

そして、ぼくの中で

「ちゃんとしよう」という思いが芽生えた。

いろんなことが起きても

気持ちが落ち着くようになった。

 

イタズラをされてもあからさまに

怒ったりすることもなくなった。

そうすると、周りもぼくに対して

自然とイタズラをしなくなっていった。

どれだけ悔しくても、泣くことはなくなった。

負けず嫌いの感情はまだまだあるけれど、

負けて落ち込んでも気持ちを

「泣く」以外の行為で

切り替えられるようになってきた。

 

悲しいことやつらいことがあっても、

「泣く」以外の方法で

気持ちの整理をつけられるようになった。

自分の身を守るためにも、

負の感情を表に出すということを

今までよりは控えるようになっていった。

 

そして、

中学2年生から10年間、

ぼくの涙は枯れていた。

 

(「中学2年生で枯れた涙を取り戻した話」につづきます。)

 

立石ハシゴ酒ツアー② 下町のおっちゃん編

旅行記

◎最初から見る→ 立石ハシゴ酒ツアー① 食べ歩き編

 

 

立石の商店街で食べ歩きを終えたあとは、お店で落ち着こうということになりました。

商店街を歩いていると、いかにも下町風情なコーヒー屋さんがありました。

 

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ふらりと入店したその瞬間から、マスターのおっちゃんのマシンガントークがはじまりました。

 

おっちゃんはコーヒーを淹れつつ、はじめて立石に来た我々に商店街のオススメを慣れた口調でとても魅力的に紹介してくれるのです。

 

「立石の居酒屋は2流のオールスター」
「あの焼き鳥屋へ討ち入りしなさい」
「翌朝、超元気になる餃子」

 

どれもこれも美味しそうでヨダレを垂らしていると、「腹が限界になるから持ち帰ってお土産にするものはねー…」というアドバイスをもらいます。

立石のプレゼンテーションはコーヒー屋のおっちゃんが1番うまいと思います。

 

もはや立石の観光大使です。

 

そんなおっちゃんに紹介してもらったのは焼き鳥屋さんでした。

ただ、この焼き鳥屋さんも普通ではありません。
昼から行列ができていて、店内は人がぎゅうぎゅうに詰まっています。

入店時の注意書きに「荷物は前に抱えてお座りください」と書いてありました。


まるで満員電車です。

 

店内に入るとメニューはドリンクしか書いてありません。どうやって注文をすればいいのでしょうか。

しかし、我々には立石に関することでは最強のヒーローがいます。


「コーヒー屋のおっちゃん」です。


この焼き鳥屋にはメニューが店内に掲載されていないこと、注文はどうすればいいのか、料理はオススメなのか。
事前に情報を教えてくれていました。

常連ばかりで手狭な焼き鳥屋で雰囲気に飲まれそうでしたが、コーヒー屋のおっちゃんのおかげでスムーズに注文することができました。

 

そして、焼き鳥屋のおっちゃんも、大繁盛で忙しい店の中で、常連では無い我々にはやさしくメニューを教えてくれます。

 

そして出てきた焼き鳥。

 

これが、もう、ビックリするほど美味しかったです。
一口目を食べた瞬間に目を見開きました。
「これが本当の焼き鳥なのか!!!」と思いました。
もも、ねぎま、レバー、あぶら…
タレでも最高だし、塩でも絶妙の美味しさでした。

そして、お値段も下町価格で安いのです。こんな美味しいものをこの値段で食べていいのかと思いました。

 

絶対にまた行きたい。行こう。

 

ありがとう、コーヒー屋のおっちゃん。

ありがとう、焼き鳥屋のおっちゃん。

 

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立石ハシゴ酒ツアー① 食べ歩き編

旅行記

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下町風情たっぷりの「立石」という街があります。

 

「葛飾区」というだけで下町感が溢れていますが、駅から降りて15秒後には雰囲気のあるアーケードが見えてきます。

 

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朝早くに行ったので落ち着いていますが、昼になるといたるところで行列ができます。

シャッター商店街なんて言わせない。

 

焼き鳥、コロッケ、餃子、メンチカツ……

他にもたくさんの食べ歩きスポットがありました。

 

手には食べ物を持っているのにも関わらず、目の前には次の食べ物が迫ってきます。

 

これはもう、デブになります。

 

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その中でも私が1番美味しかったのがたい焼きでした。

クリーム味を食べたのですが、焼きたてのカリッとした皮の中から、とろとろのクリームがなだれ込んできたときは悶絶しました。美味しかった……

 

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食べ歩きを堪能したあとには、いよいよ「下町感の溢れる店での昼からハシゴ酒」がスタートします。

 

下町のおっちゃん達が、魅力的なのですよ。

 

(つづきます)

 

 

 

地下アイドルの「光」と「闇」

地下アイドル

・数年前になりますが、「地下アイドル」のお手伝いをしていたことがありました。

 

きっかけは、仲の良い後輩が「アイドルをやりたいので手伝ってください!」という言葉から始まりました。

活動期間は2年間。地下アイドルの世界を覗き見るには十分な期間でした。

 

彼女達がアイドルを卒業してからもうすぐ1年間が経ちますが、最後のライブで人生最大級のボロ泣きしたのはいい思い出です。

 

 

 

・つい先日になりますが、NHKの「ねほりんぱほりん」という番組で「地下アイドル」の特集をしていました。

 

番組内容は、地下アイドルを知らない人達に向けて「地下アイドルあるある」をとても丁寧に伝えていました。さすがのNHKでした。

番組内で流れたBGMの選曲も地下アイドルがライブで歌いがちな曲ばかりでしっかり取材してるなぁ、と。

 

そして、2年間の活動期間ですっかり自分の中で定着していた「地下アイドルの常識」が、番組の出演者には驚かれてばかりでした。

 

知らない人にとっては興味を持ってもらえるぐらい特殊な世界だったということを実感しました。

 

 

 

・どの仕事でも、どの業種でも、同じようなことは言えると思うのですが、その中でも地下アイドル業界はそれなりに特異性のある空間だったんだなぁということを、改めて思いました。

 

ライブを盛り上げるために徹夜で準備をして、そのままステージに上がり疲れを一切見せないキラキラとした姿をファンに披露するアイドルを見ていました。

一方で、ファンを食い散らかしていて、ライブに来るファンのほとんどが肉体関係ありのアイドルもいました。

 

「光」と「闇」がこんなにも混ざり合う世界はとても珍しいです。

 

いろいろなファンがいて、いろいろなアイドルがいて、多種多様な関係性がある。

 

混沌とした世界を覗き込むのは、興味深かったです。

 

 

 

・「光」の部分も、「闇」の部分も、思ったことをこの日記に書いていこうと思います。

 

ひとつだけ明確に言えることは、大抵のアイドルは「人気を得るため」に「光」になったり「闇」になったりしていたということ。

 

そのことを頭に刻み込んで、これからも書いていきますね。